離婚の成立に関する事例
離婚の成立に関する事例
離婚を拒否する夫と約3か月間で離婚できたUさんの事例
ご相談者Uさん
当事者:離婚を請求した
性別:女性
職業:会社員
相手職業:会社員
解決方法:調停
※案件や依頼者様の特定ができないように内容を編集しております。
状況
婚姻後まもなく、Uさんの夫は、Uさんに対して暴言を浴びせたり、Uさんの作った料理に手を付けずそのまま捨てるといった行動を取るようになりました。
Uさんは、夫の言動が結婚前から大きく変わったことに驚いたものの、結婚生活をなんとか続けようと料理の勉強などに努めていました。
しかし、夫と生活を続けるうちにUさんは精神的な限界を迎え、結婚して半年が経った頃に夫と別居しました。
別居後、Uさんは夫に対し離婚を求めましたが、夫はUさんの求めを無視し続けました。
そこで、夫の対応に困り果てたUさんは、夫との離婚問題について弁護士にご依頼されました。
弁護士の活動
1 Uさんの希望する解決と方針決定
当初、Uさんは、できる限り早く夫と離婚することを希望しており、離婚以外には何も請求しなくて良いと考えていました。
しかし、弁護士が詳しく話を伺うと、Uさんは同居中の夫の言動に苦しんだこと、また夫が離婚に応じなかったため弁護士に委任することとなりコスト負担が生じていることについては必ずしも納得がいっているわけではありませんでした。
そこで、弁護士は、Uさんと相談の上、本件については①できる限り早期に離婚を成立させるべく協議離婚の成立見込みが乏しいとの判断に至った場合にはすぐに離婚調停の申立てを行う、②解決にあたり一定の解決金の獲得を目指すという方針をとることを決定しました。
2 協議離婚の申入れと婚姻費用分担金の請求
まず、弁護士は、Uさんからご依頼を受けた翌々日に、夫に対し内容証明郵便により協議離婚を申し入れた上、婚姻費用分担金の請求を行いました。
上記請求に際し、夫に対して2週間以内に回答するよう求めていたのですが、夫からは何ら回答がありませんでした。また、その後、弁護士は夫に対し何度も電話をかけたのですが、夫が電話に出ることは一度もありませんでした。
3 離婚調停の申立てと解決金の請求
そこで、弁護士は、Uさんからご依頼を受けてから1か月以内に離婚調停と婚姻費用の調停を申し立てました。
これに対し、夫は1回目の調停期日を欠席したのですが、裁判所から夫へ呼び出し状を送付してもらったこともあり2回目の調停期日には出席してきました。
弁護士は、2回目の調停期日の中で、離婚の原因が夫にあることや夫が離婚請求を無視した結果としてUさんは弁護士費用等を負担していること、場合によっては扶養的財産分与等を請求する可能性があることを述べた上、夫に対し離婚及び解決金の支払いを求めました。
その結果、Uさんからご依頼を受けてから約3か月後に行われた2回目の調停期日において、「夫がUさんに対し解決金として40万円を支払う。」との内容で離婚調停が成立することとなりました。
ポイント
1 方針の検討
本件では、初回相談の際に、Uさんは弁護士に対して「できる限り早く夫との離婚を成立させたい。お金はいらない。」とのお話を繰り返しされていました。
そのため、できる限り早期に離婚を成立させることを最優先にするというのがUさんの御希望に最も沿った方針であることは間違いありません。
一方で、Uさんが「お金はいらない。」とお話しされているのは、お金を請求すると解決までの期間が長期化するのではないかと懸念されているのが理由とも考えられました。
そこで、弁護士は、Uさんのお考えを慎重にお伺いした上、進め方についてUさんと相談いたしました。
その結果、①できる限り早期に離婚を成立させるべく協議離婚の成立見込みが乏しいとの判断に至った場合にはすぐに離婚調停の申立てを行う、②解決にあたり一定の解決金の獲得を目指すが、解決金を獲得する関係で解決までの期間が長期化する可能性が顕在化した場合には対応を別途相談させていただく、という方針をとることに決まりました。
仮に本件でUさんが夫に対しお金を全く請求しないことをご希望されていた場合、夫に対して金銭的な請求を全く行わないという対応も考えられましたが、その場合には解決金を獲得することができなかった可能性が高いといえます。
このように、弁護士が行う交渉等の進め方や最終的な解決内容は、依頼者様がご希望される解決内容に応じて大きく変わる場合があります。
そこで、当事務所では、ご依頼いただく際に依頼者様がご希望される解決内容等を詳しくお伺いした上、お一人お一人に合った「目標とすべき解決」や「目標に向けた戦略」をご提案させていただくよう努めております。
2 離婚成立までのスケジュール
出来る限り早期に離婚を成立させようとする場合、通常は協議離婚の成立を目指すというのがベストな対応です。
しかし、相手方配偶者の性格や夫婦の関係性次第では、相手方配偶者が協議離婚には一切応じないということも考えられます。
その場合、協議離婚の成立のために時間を費やすよりも離婚調停の申立てを行った方が離婚を早期に成立させられる場合もあります。
本件では、弁護士にご依頼いただいた時点で、Uさんの夫はUさんからの離婚請求を無視し続けていた上、弁護士からの内容証明郵便や電話も無視し続けたことから、配偶者との話合いを継続しようとしたとしても協議離婚が成立する可能性は低いと考えられました。
そこで、本件では速やかに協議離婚の代理交渉を打ち切った上、離婚調停の申立てを行ったことでご依頼いただいてから約3か月で離婚を成立させることができました。
※協議離婚、調停離婚、裁判離婚の内容やメリット、デメリット等については以下のページをご覧ください。
3 解決金の合意
離婚に際して配偶者から解決金を獲得できるかどうかは、離婚原因の所在、扶養的財産分与を請求できる可能性、未払となっている婚姻費用の有無、その他の事情により変わってきます。
本件の場合、離婚原因がもっぱら夫にあると考えられたこと、Uさんは夫に対し一定額の婚姻費用を請求できる状況であったこと、別居後の夫の対応が不誠実であったこと、それによりUさんが弁護士費用を負担することになったこと等を具体的に主張したことにより、最終的に早期に離婚を成立させた上で解決金40万円を獲得することができました。
※掲載中の解決事例は、当事務所で御依頼をお受けした事例及び当事務所に所属する弁護士が過去に取り扱った事例となります。